2012.7.16

シリーズ  私のであったいじめ事件


またまたいじめに関して痛ましい事件が報道されています。私が体験したいじめに関する事件をわかりやすいように物語風に記載いたします。
競争が生んだ悲劇

・私立はいじめがないと思って

体育以外の成績はむしろ上位の方なのですが、行動がゆっくりしていて、走るのも他の生徒よりかなり遅い紀子という生徒がいました。
中学に入学してまもなくは、行動がどうしても他の生徒と、ういているようなところが有り、担任の教師もいじめられるのではないかと気になってました。

本人を呼んで
「何か困った事などあったら、いつでも先生に言ってね」
と言っておいたというのですが、五月の連休明けに早速事件が起きました。

同じクラスの五人の生徒が中心になって、紀子に「臭い」とか「キモイ」とかいって避けるようになったという事でした。
小学校の時も、少し行動が遅いので(話し言葉も少しだけテンポが遅い)、いじめの対象であったようです。

父親から担任に電話があり、直接学校責任者にも話しておきたいという事で、私にも電話がありました。私への電話は、冷静に落ち着いておられたので、小学校の時から学校には何回も電話をされていたのだな、と感じました。

「この事件は、五人の生徒が紀子一人に暴言や嫌がらせをしており、親としては明らかにイジメと判断しますが、学校の判断を聞かせてください。」
と詰問の形で始まりました。

私立学校は、学校が生徒たちをしっかり管理しており、イジメがなく、安心して学校生活が送れると思っていたようです。
「先生、イジメがないと思い、わざわざ高い学費を払って私学へ行かせているのですよ」
と言われました。

「お父さん、今の子供たちは、何処に行ってもトラブルは起こします。人と人は繋がらなければ生きていけません。そのつながりを創るため子供たちも苦しんでもがいているのです。お父さんのつらい気持ちは分かりますが、学校と親といっしょになって、子供たちが助け合い育ち会うために、協力してください。」
と話し、おわりに
「お父さん、心配な事が有ったら、いつでも電話してください」
といって、電話を切りました。

こんなことが、親としては一番つらいだろうことである事は、私にも同じような経験があります。わが息子(3人の子供の中の一番上)が中学一年の時、バレーボール部でトラブルを起こして学校に行くのを渋った時、
「それ位いわれて、何だっ、言い返してやれっ」
とどなってしまいました。苛立ちと、わが子への惨めさ、また息子を仲間はずれにした、息子と親しくしていたのにイジメに回った友達への、憎しみなどが混ざり合っていたあの想い・・・

私は、先生達に、いわゆる、イジメといわれるような事件に対応するときについてはいつも口癖で次のように言っています。

これは「だれがだれをいじめたか」というようなことでなく、友達づくりのつたない子供たちの間に起きたトラブルです。したがって、どちらが正しいのかという捕らえ方でなく、どんな気持ちでどうしようと思ったのか?という事をまずは一人ずつに聞いてください。

いじめた方が悪いという事でなく、関係した生徒の一人ひとりの気持ちをまず担任が理解してください。担任一人では自信がなければ、ためらわず、他の先生の力を借りてください。一番大切なのは生徒一人ひとりのその時の気持ち、感情を分かってあげるという事です。

・ 他にすることなかったもん

担任は早速、紀子を呼んで事情を聞きました。

はじめに、話を聞いたところによると
入学の初めのころは、5人で一緒に学校に来ていたのですが、だんだん紀子をからかうのが5人の集まりの時の雰囲気になっていったとの事。
そのうち、クラスの中でも紀子がからかわれるようになり、からかわない」子もだんだん紀子を避けるようになっていったということでした。

五人の中のリーダー格は明らかに、圭子でした。
紀子に聞いた中でも、圭子がいつも紀子にきつく当たり、他の四人も同じようなことをするようでした。

圭子は一人っ子でした。父は大学の先生をしており、母も高校の先生です。入学してきた時から、中学一年とは思えないほどしっかりしており、入学試験の成績はクラスでトップです。
両親とも、当たり前とはいえ極めて教育に熱心で学校にも協力的でしたので、担任としては
自分の味方になってくれる保護者として、快く思っていました。

その圭子を呼んでまず話を聞きました。担任の
「そんな事をされたら、紀子はどんな気持ちだったと思う」
という事に、圭子は本当に申し訳なさそうにうなだれており、
「先生!私から紀子に謝りたい」
と言ってくれたので、担任もほっと一息つきました。

他の4人について担任が驚いたことには
「なんでそうなったの?」
と訊いても首をかしげていたのですが、一人の子が
「だって、他にすることなかったもん」
というと
「そうだっ、何にもやる事がないから、紀子をからかっていれば楽しかったし」
というと、4人ともうなずいていた。

5人が、一緒に学校へ通学しているのですが、それと思う話題もなくどうかかわっていいか分からない。その時の一番共通する話題が、目の前にいる紀子であったわけです。
紀子を仲間はずれにして、けなして笑いものにしていると五人の間がまとまって、なごやかに、楽しく過ごすことができたと言うのです。

この内容を担任から報告があったとき、私は生徒たちが放置しておいても自然に友達が出来るという考えが間違いであることに確信を持ちました。そして、友達づくりは学校の重要な課
題であると言う気持ちをますます強くもつようになりました。

担任は、このトラブルで本人がどれくらい傷ついているかと言う事や紀子の父親の怒りや母親の悲しみをそのまま五人に伝えました。また、一人でもつらくて学校にこれないような生徒のいるクラスは作りたくないことなどの担任の思いも伝える中で、五人とも素直に紀子に謝りました。

・紀子を見ているとムカツク
ところが、紀子に対するイジメはこれで一件落着ということにはならなかったのです。
「先生・・・。やっぱり小学校とおんなじですね。むちゃくちゃなメールが、紀子に来ているんです」
父親の声は悲痛でした。事情を聞いてみると、以下のような内容のメールが不特定の数名か